Vol. 19(美肌ローラ)

知的財産高等裁判所 平成29年(ネ)第10086号

 

1.結論

特許無効の抗弁は認められず特許権侵害が認められた(特許法104条の3等)

 

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2.概要

侵害訴訟と並行して行った無効審判の一事不再理効が、侵害訴訟の無効の抗弁にも適用されるとされた事例である。具体的にいうと、侵害訴訟の被告が特許庁に無効審判請求し、審決取消訴訟を提起せずに無効不成立の審決を確定させた場合には、同一当事者間の侵害訴訟において同一の事実及び同一の証拠に基づく無効の抗弁は許されないとされた。

 

なお、原審では、一事不再理効が認められず無効の抗弁が認められていた。

 

 

3.コメント

本件は特許の事案ではあるが、特許に特有の論点ではないため、意匠及び商標にも同様に当てはまると考えられる。

 

本件で、2017年5月30日以降、被告が同一事実・同一証拠で無効審判請求するとその請求は認められないが、侵害訴訟の無効抗弁も認められないか否かが問題となる。本件の判断は、エマックス事件(最高裁)の特許法104条の3第1項の解釈と同様に「単に無効理由を有するかどうか」ではなく、「実際に無効審判を請求した場合に無効となるかどうか」を基準としている。知財高裁の複数の裁判官はエマックス事件前には「単に無効理由を有するかどうか」という解釈をしていたが、最高裁の判断手法が出てしまった以上、本件でもその手法に抗えなかったのであろう。

 

この事例に基づくと、被告にとっては、一旦無効審判を行えば、成立審決を勝ち取るまで最後まで戦う必要があり、費用負担が大きい。一方、そもそも無効審判の請求自体を慎重に行うべきともいえる。代理人弁理士としては、仕事が減るのを覚悟でクライアントのためにこのようなリスクについてアドバイスせざるを得ない。。104条の4の新設による侵害訴訟確定後の無効審判による再審も制限されてしまったことに続き、本件事案によって、無効審判は請求せず、侵害訴訟で解決しようという流れにますますなりそうである。

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