商標の識別力の判断基準・手法

 

商標の識別力が有るか無いかの判断基準はどこにあるのか、どのように識別力の有無を判断するのかを以下に解説します。

 

商品の製造地、機能、ジャンル等(以下、「性質」という」を表す言葉であっても、漠然とした表現や暗示的な表現であれば「識別力有り」となります。例えば、以下のように、「made in China」は明らかに識別力が無い一方で、「china made」は暗示的な表現であるとして「識別力有り」の可能性があります。

 

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ところで、商標の実務ではグレーなことが非常に多く、僕は上記の棒グラフのように捉えています。「made in China」のような簡単なものは実務上少なく、「china made」のような、グレーな商標の依頼を受けることが多いです(詳しく調べると上記矢印の位置も変動するかもしれません)。なお、「HOLLYWOOD MADE(不服2013-16023)」では、識別力無しとして拒絶されたものの、不服審判を請求して(2度反論して)やっと登録になっています。

 

実際、識別力の有無を判断する際には、大まかに言って、以下の2つを検討します。

 

(a)商標から商品の性質が想起されるか

(b)商標の表現が性質表示として暗示的か

 

a商標から商品の性質が想起されるか

商標から商品の性質が想起されなければ識別力があります。

 

例1

商品「洋服」について商標「ice」

「凍った洋服」は現実的に想定し難いため、(b)に進むまでもなく、識別力有りと言えそうです。

 

例2

商品「洋服」について商標「極暖」

「とても(極めて)暖かい洋服」は洋服の性質として一般的であり、当然想定されます。このため、(b)に進むことになります。

 
(b)商標の表現が性質表示として暗示的か
商標の表現が性質表示として暗示的(漠然としている)であれば識別力があります。以下、商品「洋服」について商標「極暖」を例にとって説明します。
 
極暖」、「極〇〇」、及び「〇〇暖」が普通がなのかどうかを検討します。この検討は、需要者としての感覚、辞書、使用例、審査例等の過去の判断例に基づいて行います。

 

この中で、特に使用例について、「極暖」という言葉が使用されているかどうかをGoogle等で検索し、検討します。また、言葉の使い方として、「極めて〇〇」のことを「極〇〇」と略するか、「暖かい」のことを「〇〇暖」と表すのかも検討します。次に、これらの言葉について、アパレル業界での使用状況も見ます。誰が使用しているかで使用例の重みは異なります。洋服メーカー、雑誌や新聞、ファッション系のネットの記事等は考慮されやすい一方、閲覧者の少ない個人のブログ等はあまり考慮されません。

 

過去の判断例も見る必要があります。感覚、辞書、使用例に基づく自分の見立てと異なる判断を審査官が下していることがあります。なので、過去の例を調べることは重要です。

 

以上のようなプロセスを経て識別力の有無を判断します。